「話し合い」ではなく、「考えを形にする場」に。

解体2025/04/03 2025/04/07

「とりあえず話し合おう」
そんな言葉から始まる会議が、意外と多い。だけど、“話し合う”という言葉の裏には、「何を決めたいか」が曖昧なまま進んでしまう危うさが潜んでいる。

ある日社内で行われた定例ミーティング。議題は「新商品の販促アイデアについて」。よくあるテーマだが、その日の会議はいつもと違っていた。全員が、事前に案を持ち寄っていたのだ。ホワイトボードにはそれぞれのメモが貼られ、付箋が飛び交う。

そのとき初めて実感した。「会議って、準備と空気感でこんなに変わるんだ」と。

発言の順番を待たなくてもいい。誰かの意見に乗っかって、アイデアを発展させてもいい。
その場にいた全員が、“話す側”であり“聞く側”である。そんな空間は、ただの「話し合い」ではなく、「考えを形にするための場」になっていた。

決して全員が饒舌だったわけではない。でも、考えを伝えることへの遠慮がなかった。
それは、「自分のアイデアは未完成でもいい」という共通認識があったからだと思う。
この“未完成を受け入れる雰囲気”があることで、発言のハードルは一気に下がる。

もちろん、すべての会議がこうなるわけではない。
でも、少なくとも「今日は何を決めるのか」「どうなったら前進と言えるのか」
この2つを共有するだけで、会議はグッと前向きになる。

議論のゴールは、アイデアを評価することじゃない。
そこから、なにを生み出すかだ。

話すことが目的ではなく、動き出すための“きっかけ”をつくる。
そんな意識で会議に臨めば、時間も、発言も、もっと意味のあるものになる。

そして気づく。
良い会議って、「よし、やってみようか」で終わるものなんだな、と。