解体現場に見る、丁寧な仕事と安全への配慮

解体2025/04/03 2025/04/07

解体現場というと、大きな音と粉じんが舞うダイナミックな作業を想像する人が多いだろう。だが実際には、そこには細やかな気配りと高度な計画性が詰まっている。特に最近では、周辺住民への配慮や環境への対応が求められる中、安全と信頼を守るための「目に見えない努力」が積み重ねられている。

ある建設会社の解体現場を訪れた際、その印象は特に強く残った。現場には作業員以外立ち入れないようフェンスが設置され、作業の進行状況が毎日掲示板に掲示されていた。「近隣の皆さまへ」と書かれた案内文には、工事の日程、騒音対策、振動の影響などが丁寧に記されていた。単なる業務ではなく、地域との信頼関係を築く姿勢が表れていた。

工事の中断中には、水まきによる粉じん対策が行われ、廃材は種類ごとにしっかりと分別されている。作業員たちは全員がヘルメットと安全帯を着用し、指差し確認を怠らない。「安全第一」の精神が、見ていて自然と伝わってくる。

さらに印象的だったのは、万が一のトラブルや事故に備えた対応体制だ。事前に作成されたリスクマネジメントマニュアル、非常時連絡体制、そして近隣住民向けの相談窓口まで用意されていた。これらの準備があることで、「何かあったとき」の不安を最小限に抑えている。

企業としての責任は、仕事の成果だけでなく、社会との関わり方にも表れる。
今回の現場では、作業中に一部の工期が遅延したこともあったが、すぐに張り紙で状況説明と謝罪がされていた。その内容は形式的ではなく、誠意をもって書かれており、現場を預かる責任者としての姿勢が伝わってきた。

「壊す」作業は、その先に「創る」未来を見据えている。
だからこそ、壊すことにも誠実さと丁寧さが求められるのだと、現場を見て改めて実感した。

これからも、安心と信頼のもとで行われる解体作業が、次のまちづくりへとつながっていくことを願っている。