人と過ごす時間も好きだけど、ときどき無性に「ひとりでいたい」と思う日がある。
そんな日は、誰にも気をつかわず、好きな道を、好きなペースで、ただ歩くだけの時間が欲しくなる。
今日がまさにそんな日だった。仕事が少しうまくいかなくて、ランチもなんとなく落ち着かなかった。帰り道、ふと「このまままっすぐ家に帰るのはもったいないな」と思い、少し遠回りをすることにした。
向かったのは、家の近くの小さな公園。普段は通り過ぎるだけだったけれど、今日はその静けさに惹かれた。
木々の葉がゆれる音、遠くで聞こえる鳥のさえずり、そして、自分の足音だけが耳に届く。そんな空間に身を置いてみると、不思議と心がほどけていく。
スマホはポケットの中。誰かと連絡をとるでもなく、写真を撮るわけでもなく、ただ歩く。
どこかに向かうためじゃなく、ただ歩きたいから歩く。そんな時間って、思っている以上に贅沢だ。
すれ違う人はほとんどいない。だからこそ、自分のペースで呼吸できる。深く息を吸って、吐いて。ああ、自分はまだ大丈夫だな、って思える瞬間。
歩きながら、ちょっとしたことを思い返す。今日の会話のこと、あのときの表情、ふいに傷ついた一言。でも、ここにいると、それさえも少し遠くに感じられる。きっと、時間が経てば大丈夫。そんな気がしてくる。
ひとりで歩く時間は、誰かに頼るのではなく、自分の中にある“回復力”を思い出すためのものかもしれない。
誰にも見られず、気づかれず、ただ“今”を感じる時間。
道の先に何があるかなんてわからないけれど、それでも一歩ずつ進んでいけばいい。
そう思える自分に、ちょっとだけ救われた。
明日は、また誰かと笑えるかもしれない。
でも今日くらいは、ひとりで歩く道を大切にしよう。
それもまた、私にとっての前進だから。